紹介患者の緩和ケアの受け入れ状況に着目して ~信頼関係の早期構築に向けての関わり~

いちえ会 洲本伊月病院 看護部 訪問看護、看護部 一般病棟、看護部 療養病棟、緩和外科
○内藤美保、佐伯尚美、桂あかり、松延理恵、川二美、西尾美帆、橋本芳正

はじめに

当院の緩和ケアチームでは他院からの紹介患者を受入れている。
中には緩和ケアを理解できず、紹介時に医療や看護に対する不信感や不安を抱え転院してくる症例もみられる。
そこで紹介患者のうち、訪問看護が関わった症例を、初回来院時の緩和ケアに対する理解状況をもとに検討した。

方法

平成20年からの3年間の患者を対象とし、A群:緩和ケアを理解し、希望してきた症例(13例)と、B群:緩和ケアを理解出来ていない症例(37例)に分類し緩和ケアの受入れ状況を比較検討。
この研究は当院の倫理委員会の承認を得ている。

結果

初回の説明でA群は100%、B群は8%が受入れ可能、その他のB群は頻回なインフォームド・コンセント(以下I.C)を要したが、最終的にはすべての症例が受入れでき、患者家族の希望する在宅療養を行う事が出来た。

考察

「チームアプローチは患者とチームとの信頼関係があってこそ効果を発揮する」といわれている。
A群は希望して来ており、信頼関係が構築しやすく受入れできたと考える。
B群は、1)医師より受入れできるまでI.Cの施行、2)充分な症状緩和、3)チーム一丸となった先を見越したケア、を行う事で、信頼関係が構築され、最終的に全症例が受け入れできていったと推察する。
今後は患者の残された大切な時間を考え、A群の状態で紹介される事が望ましい。
そのためにもさらなる緩和ケアの普及が必要であると考える。