延命処置を望まない筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のアドバンス・ケア・プラニング(ACP)を経験して

医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院 緩和ケアチーム
〇川 二美  凪 淳子  桂 あかり  佐伯 尚美  魚井 雄貴
岡 頼子  西尾 美帆  藤田 逸郎  橋本 芳正

はじめに

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインが作成され、平成30年度の改正において、アドバンス・ケア・プラニング(以下ACP)の概念が盛り込まれた。以降実施を推奨されてきたが現場では浸透していないのが現状である。今回、筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)と診断され今後の生活に不安を抱えた症例と関わりAPCを経験した。

事例

70歳代女性 ALS診断一ヶ月後に胃瘻造設。内服以外の治療は希望せず。訪問看護利用し自宅療養されていたが、徐々に症状進行し、診断から半年後にレスパイト入院の相談をうけ、緩和ケアチーム介入依頼あり。まずはACPが早急に必要と判断し実施。今後の経過、本人、家族の希望のすり合わせを実施。本人は自宅を強く希望され自宅でできる限り過ごす方向性となる。症状コントロールの為のポート留置についても説明し、その際は入院になる事も併せて説明。実施後安心しましたと笑顔で帰宅。後日ポート留置希望され入院。留置後退院についてすすめるも、ADLが低下したことで家族に負担をかけるのではと迷われる様子あり。何度もACPを行い退院。退院1ヶ月、自宅にて看取りとなった。

考察

ACP当初、患者の表情は硬く、入院させられるのではないかという不安があった。日々症状が進行していく中で、対応や予測がわからない家族もまた同様であったと思われる。ACPを実施し思いをすり合わせることで不安の軽減に繋がり、実施後の感謝の言葉と笑顔を生んだと推察する。また気持ちは症状と共に変化するものであり、何度も思いを聞き、意思を確認することで希望の自宅での看取りに繋がったのではないかと考える。