緩和ケア外科の新設で何が変わったか 患者紹介時期についての検討 ~症状緩和の必要度からみた変化~

○西尾 美帆 1)、奥土 容子 2)、橋本 芳正 1)
1)いちえ会 洲本伊月病院 緩和ケア外科
2)いちえ会 洲本伊月病院 居宅介護支援事業所

目的

当院は平成17年の緩和ケアチーム発足当初より、外科医1名が外科診療と緩和ケアを担当していた。
患者数が増加しており、円滑に紹介患者を受け入れるため麻酔科医1名が加わり平成22年12月緩和ケア外科を新設、同時に紹介窓口として地域連携室を刷新した。
準備期間を経て平成23年9月緩和ケア相談外来を始めた。
今回紹介患者のここ3年間の変化を分析検討し報告する。

方法

平成21~23年の3年間に緩和ケア目的で他院から紹介された患者164名を初診時の症状緩和の必要度により次の3つのグループに分類、検討した。
① まだ症状緩和のための投薬が不必要
② 紹介後1週間以内に経口薬での症状緩和が必要
③ 紹介後1週間以内に点滴による症状緩和が必要

結果

緩和ケア外科新設前2年と後1年の紹介患者各41名、59名、64名のうち、早急なケアの必要な③の割合はそれぞれ61%、64%、44%と新設後低下が見られた。
緩和ケア相談外来開始後の4ヶ月間では、30%とさらに低下していた。
この事から、より早期に紹介されるようになったといえる。

考察

癌の診療において早期から緩和ケアが介入する利点は多く、早期からの紹介で患者や家族との信頼関係を築きやすくなることもその一つである。
科と地域連携室を開設、刷新したことにより他院との連携がより密になり、早期の紹介に繋がっていると考えられる。 これらの地域連携により緩和ケアがさらに充実したものになると感じられた。
地域連携室からの声も併せて報告したい。