緩和ケア病棟がない中での療養病棟における課題 ~淡路島で緩和ケアを行うにあたって~

医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院
療養病棟看護師1) 介護福祉士2) 訪問看護3) 緩和ケア外科4)
川二美1) 石崖智子2) 佐伯尚美3) 桂あかり3) 西尾美帆4) 橋本芳正4)

目的

当院は一般病棟50床、療養病棟100床の地方の私立病院である。
緩和ケアを一般病棟で行っているが、長期入院を必要と判断された患者は療養病棟へ転棟し、緩和ケアを継続している。
そこで療養病棟での緩和ケアの現状を振り返り、今後の療養病棟における緩和ケアの方向性を検討した。

方法

過去3年間の一般病棟・療養病棟での緩和ケアを振り返り、比較検討した。

結果

病院での患者看取り件数は年間約60~80件であった。
療養病棟死率が平成22年29%、平成23年58%、平成24年は48%であった。
看取りまでの平均在院日数は、一般病棟は14日、療養病棟は42日であった。

考察

当地方では現在緩和ケア病棟はなく今後も予定されていない。
私達は、一般病棟に比べ在院日数に制限のない療養病棟は活用しやすいものと考えるが、療養病棟は包括点数であり、コスト面においての問題がある。
しかし、点滴等の加療が必要であったり、何らかの社会的背景により在宅療養が難しく、かつある程度の入院期間が必要な患者からのニーズがある以上、療養病棟での緩和ケアの受け入れは必要であると考える。
その為、一般病棟に比べ少ないスタッフでもより良い緩和ケアが行えるよう医療スタッフの育成に努め、共に成長していける環境を作りながら療養病棟における緩和ケアのあり方を確立していく必要があると考える。