在宅希望の本人と看取りの不安のある家族との間で ~在宅死だけがゴールじゃない~

医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院
訪問看護1) 療養病棟看護師2) 緩和ケア外科3)
佐伯尚美1) 川二美2) 桂あかり1) 西尾美帆3) 橋本芳正3)

目的

厚生労働省資料等によると2011年では自宅での療養を望む人が6割以上に達し、また要介護状態になっても自宅や家族の家での介護を希望する人が4割を超えているにもかかわらず、全国の自宅での看取りは12.2%に留まっている。
当院でも自宅に帰りたいと希望する患者は多く、患者の帰りたいというニーズにどう対応できているかを検討する。

方法

過去3年間の在宅緩和ケアを経験した132症例を振り返り、分析検討した。

結果

在宅死率は平成22年25%、平成23年23%、平成24年17%と若干減少するも在宅緩和経験率は39%、45%、46%と徐々に増加している。
在宅から入院へ移行する要因は1番介護力不足、2番に症状不安があげられた。

考察

在宅死率が低下しているのは、核家族化・介護者の高齢化又は介護休暇が取れない現状等が考えられる。
これらの要因を軽減する為のヘルパーの利用やスタッフのフォローにも限界があり、地域や他の事業所との連携も必要となる。
一方、在宅緩和経験率が徐々に増加しているのは、往診・訪問看護が介入し在宅療養がサポートできているためと考える。
これらのことは、在宅での看取りは難しくても、可能な限り在宅で暮らしたいというニーズに応えた結果と考える。
今後も在宅死だけがゴールではなく、個々の状況に応じた判断を行い、緩和ケアを提供していきたい。