サービス付き高齢者向け住宅での看取りを経験して、見えた今後の課題

医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院 訪問看護1) 
医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院 看護部2) 
医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院 リハビリテーション部3) 
いちごの家 楽園すもと4) 
医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院 緩和ケア外科5) 
桂 あかり1)佐伯 尚美1)川 二美2) 奥井大介3)伊藤智也4) 
岡 頼子5) 西尾 美帆5) 橋本 芳正5)

はじめに

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住と略す)利用の患者が退院を希望し看取りに至った症例を経験したので報告する。

事例

80歳 女性 独居 左乳癌多発転移 2016年4月痛み増強・食欲低下があり入院。点滴による症状緩和ができ、退院希望あり。
退院に際し訪問看護氏と担当者間で、サービスの変更、サ高住の管理者へ看取りに関し意思確認、ケア・観察の依頼や情報共有の仕方についてカンファレンスを施行後同月退院。初回訪問時にデイサービスの看護師・スタッフと面談し、ケア内容の依頼と状態確認。退院3日後に担当者会議を開催。訪問時に必ずスタッフと情報共有を行っていた。患者は症状緩和もでき、穏やかに過ごされていたが、徐々に状態が悪化。状態変化時はスタッフの不安が強くなり、再三の連絡や緊急訪問で対応しながら同年5月永眠。

考察

サ高住での生活に関し、サービス内容の充実はできていたが、状態悪化に伴いスタッフの不安による連絡が急増した。そのことから関わるスタッフへの配慮や、看取りへの対策が不十分であったと考える。
今後、サ高住で看取りを行う場合には、スタッフにも在宅で看取りを行う家族と同じ精神的配慮に加え、スタッフの経験もふまえた専門的な説明や指導も必要だと考えられた。