医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院 緩和ケアチーム
〇桂 あかり 佐伯 尚美 川 二美
岡 頼子 西尾 美帆 藤田 逸郎 橋本 芳正
はじめに
日本では国民の6割の人が在宅療養を望む中、病院以外での看取りが微増している。今回、独居の末期癌患者と関わった。患者が在宅療養継続を希望していたが、状態悪化時、娘の希望で入院し看取りに至った。患者の希望に添えず入院となった要因について考えた。
事例
50代女性 肺癌
独居で生活保護受給者 他市在住の娘が買い物等1~2回/週訪問
他院から緩和目的で受診以降、緩和ケア外来を約3ケ月間通院していた。
入院を拒否していたが呼吸苦が増強し入院。7日後退院し在宅療養を継続していた。退院後20日、受診困難な状態になり往診。入院を拒否され、点滴での症状コントロールへ移行。訪問看護4回/週利用開始。退院後28日、往診時に、採血結果・病状の経過・今後について主治医より娘へ説明を施行。患者の希望に添いたいと意思確認し、在宅療養を継続。その2日後、電話が繋がらず、娘と来訪。下顎呼吸の状態であり、娘へ数時間しか残されていない事を説明し、訪問看護師と在宅での看取りを行うか、入院をするか確認。結果、緊急入院となり同日病院で永眠。
考察
最終、病院での看取りに至った要因として①患者に最期を迎える場所・迎え方等の意思確認ができていなかった②患者の意思を娘と一緒に確認していなかった③娘と関わる時間が少なく、信頼関係の構築が不十分であった等が考えられた。この経験から在宅緩和ケアを行っていく上で、患者・家族の希望や想いを確認し、さらにそれを文書にまとめ、共有することが重要であると改めて実感した。今後も患者家族へ、病状の転機毎に意思確認や今後の希望を確認し、その想いに寄り添っていきたい。