医療法人社団いちえ会 洲本伊月病院 緩和ケアチーム
川 二美、凪 淳子、西尾 美帆、藤田 逸郎、橋本 芳正
目的
2024年度の次期診療報酬・介護報酬改定に向けて「ACPの推進」が重要論点の1つにあがっており近年ますますACPの普及重要性がうたわれている。しかしながら、2017年と2020年の認知度調査においては、ほとんど変わっていないという結果が報告されている。当院においても、実施・普及に努めている。ACPを普及していくにあたり一般の人にACPについての意識調査を行い、2020年当学会にて報告した。結果、言葉の普及はすすんでいるが、必要性や、具体的な内容・方法についての理解が不十分であり、ACPの具体的な内容と方法を示す必要が示唆され、2021年にACP相談窓口を開設した。しかしながら相談者は年間数名であり、中々普及されない現状にあった。今回普及の阻害要因を抽出し対策を実施した。
活動の概要
阻害要因の抽出及び対策。①患者への啓蒙不足:ポスターの刷新及び掲示の増量。院内サイネージの活用。②医師の理解不足:ACP相談のフローチャートを作成し手順を示したうえで協力を依頼。③多職種の連携不足:ACP相談窓口の啓蒙と電子カルテ内にて所定の書式にて記録し内容を共有する。④ACPのタイミングの理解不足:対象者の例の提示。
成果
職員への周知、フローチャートを作成したことで相談方法がわかり、職員からACPが必要と思われる患者について報告があがるようになった。
考察
ACPの必要性や重要性についてわかっていても、具体的な方法やタイミングがわからず悩んでいた職員が、フォローチャートを通し相談方法を認識したことにより、報告があがるようになったと推察する。ACPの普及率が上がらない中、医療従事者が患者や家族にタイミングにあわせ声をかけることが普及の第一歩に繋がると考える。今後は電子カルテの活用によるACP対象者の啓蒙や、患者自身から希望してもらえるような試みを実施するなどACPの普及に努め、ACPの意義・意味を感じてもらえるよう活動を続けていきたい。