臨床倫理の基本方針
- 患者の人権を最大限尊重するとともに、患者と医療従事者が協力し、患者にとって最善の利益を追求する医療を行います。
- 患者の立場に立った対応を常に心がけ、良好な信頼関係を築くよう努めます。
- 医療内容やその他必要な事項について、患者に十分な説明を行います。
- 患者の個人情報などプライバシーを保護し、職務上の守秘義務を遵守します。
- 生命倫理に関する法令や診療ガイドライン等に従った医療を提供します。
- 医療機関として倫理要領や臨床上の倫理的課題等は、「倫理委員会」を中心に組織的検討を行い、最善の方針を決定します。
- 医療の進歩に必要な研究活動は、「倫理委員会」を中心に倫理的・科学的観点から妥当性を審査のうえ、その適否を判定します。
具体的な倫理的課題への対応方針
- 臨床場面で生じる個別具体的な倫理的課題への対応
患者の抱える種々の倫理的課題(先進医療に関する事例、患者の権利と尊厳に関する事例、治療方針やインフォームド・コンセントに関する事例、安全確保と拘束に関する事例、個人情報の保護に関する事例など)を把握する。把握した倫理的課題については、多職種の医療チームで検討し、さらなる検討が必要と判断された場合は、倫理委員会申請書を用いて申請し倫理委員会で検討する。 - 新たな診療・治療方法や技術を導入する際の対応
保険適応が認められた治療方法については、当該部署で倫理面と医療安全面から十分に当該医療を検討し、研修受講などによって技術修練を行う。(洲本伊月病院新規医療技術導入にあたる規定の遵守) - 保険適用外であるが有益と考える治療法を新規に導入する際の対応
当該部署で倫理面と医療安全面から当該治療法を検討し、当院既定の手順に沿い所定の申請書を作成する。必要であれば研修受講などによって技術修練を行う。その上で、ヘルシンキ宣言を尊重し、倫理委員会及び医療安全管理対策室と共に諮問し、承認が得られれば、病院長が当該治療法の実施を許可する。 - 臨床研究(治験以外)に関する倫理的配慮についての対応
当該部署で倫理面と医療安全面から十分に検討し、その上で、ヘルシンキ宣言を尊重し、「人を対象とする生命医学・医学系研究に関する倫理指針」を遵守する臨床研究として、倫理委員会に諮問し、承認が得られれば、病院長が当該治療法の実施を許可する。 - 意識不明・自己判断不能患者への対応について
意識不明や判断能力のない患者においては、緊急事態で生命に係わる場合で、かつ家族等関係者に連絡がつかない場合を除いて、家族など適切な代理人の同意を得て治療に必要な判断と決定を行います。
なお、家族など適切な代理人がいない場合には、患者にとって最善の利益となる方向で治療を行います。(意思決定支援に関する指針の遵守) - 検査・治療・入院の拒否、指示不履行について
検査・治療・入院等の必要性並びに利益と実施しない場合の負担と不利益について、患者に十分な説明を行っても医療行為を拒否した場合は、患者の自己決定を尊重します。ただし、感染症法等の規定に基づき、治療拒否が制限される場合があります。 - 退院の拒否および強制退院への対応
一般に医師が入院治療を必要としないという判断を行い、判断に基づき患者に対して退院すべき旨の意思表示があった場合は、特段の理由が認められない限り、入院診療契約は終了すると考えられているので、医師は退院を拒否する患者および家族に対しても退院の方針を説明する。なお、患者の問題行動が病院の秩序に著しく支障を及ぼすと考えられる場合や威力業務妨害や脅迫、暴行などの犯罪行為に関係すると思われる場合は、診療を拒否しうる正当な理由になると考えられ、院長が強制退院を勧告できる。 - 輸血拒否患者への対応について
宗教上の理由などから輸血を拒否される患者には、「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」に従い、適切に対応します。(意思決定支援に関する指針の遵守) - 身体拘束について
やむを得ず身体を拘束し、行動を制限する必要がある患者には、当院の「身体拘束予防ガイドライン」に従い、適切に対応します。 - 終末期医療について
終末期の医療・ケアについては、当院の「終末期医療の基本方針」に従い、患者・家族と相談のうえ、患者の意思に基づいた医療を行います。また、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を緩和し、精神的・社会的援助も含めた総合的な医療・ケアを行います。 - 心肺蘇生不要(DNAR)の指示について
心肺蘇生術(CPR)の有効性について、終末期・老衰・救命不能な患者または意識回復が見込めない場合、患者やその家族に対して十分な説明をしたうえで、心肺蘇生術を行わないことに同意された場合は、その意思を尊重します。ただし、いかなる場合も積極的な安楽死や自殺幇助は認めません。(意思決定支援に関する指針の遵守) - 病名・予後の告知についての対応
患者本人の知る権利を尊重し、本人への告知を優先する。ただし、患者自身が告知を希望しない場合は、その意思を尊重する。
また、認知機能や精神的状態等により、患者の判断力が乏しいと判断された場合には、患者の意思決定権を持つ代理人(ご家族など)に説明する。 - その他の倫理的問題について
その他の倫理的問題については、「臨床倫理の方針」の臨床倫理の基本方針に従い判断しますが、必要に応じて「倫理委員会」で審議を行い、その方針に従います。
平成20年2月1日制定
平成29年10月5日改定
令和5年4月1日改定