(キーワード:継続看護、再入院の予測、先を見越したケア)
○佐伯 尚美3) 川 二美1) 北井 靖美2) 松延理恵2) 桂 あかり3) 内藤美保3) 橋本芳正4)
医療法人いちえ会 洲本伊月病院 療養病棟1) 一般病棟2) 訪問看護3) 緩和ケア外科4)
はじめに
私達は、在宅療養が継続できず再入院となる症例を見極める為に平成17年からの3年間の症例に対し後ろ向き研究を行い再入院の理由を分析、項目を抽出し、スコア化したチェックリストを作成した。
30点以上では在宅を継続、29点以下では再入院という予測ができるといった研究をNO.1で報告し、29点を再入院のボーダーラインとした。
過去再入院をスコア化し予測する研究は少なく、今回そのチェックリストを使用し平成20年から前向き研究を行った3年間の結果について報告する。
目的
再入院を予測し、継続看護に役立てる。
倫理的配慮
この研究に対し、対象者からは学会発表に対する承諾を得ており、且つ当院の倫理委員会の承認を得て、個人を特定するような表現は避けた。
研究方法
対象者:H20~23年の間に退院となった終末期患者
方 法:入院から在宅に移行した患者に対しチェックリストを使用し、前向き研究を行う。
研究内容
- 退院決定時にチェックリストを使用しスコアを付ける。
- スコアの付け方のマニュアルを作成し、主にプライマリーナースがチェックを行うが、誰でも同じような評価ができるようにした。
- スコアが30点以上の患者・家族に対しては在宅が継続される可能性が高い為、病棟看護師と訪問看護師とで必要な指導や準備についてカンファレンスを施行し早期退院を計った。
またスコアが29点以下の患者・家族に対しては再入院の可能性が高いが、少しでも長く在宅療養が出来るよう入念な準備を整えると共に、退院後も病棟プライマリーナースが常に情報収集を行い、状態把握が出来るようにした。
結果
- 退院後、再入院した群(A群)は13例、再入院しなかった群(B群)は34例であった。
- 再入院が予測された、29点以下でも再入院しなかった症例が25例みられた。その為前向き研究では改めて検定を行うと、23点で有意差がみられた。
- 入院時から再入院の予測をすることで再入院を意識し、訪問看護師と連携をとることで、密な継続看護が可能となった。
考察
24点以上と23点以下で有意差がみられた。
後ろ向き研究と比べボーダーラインに6点の低下がみられたのは、
- スタッフが再入院を予測し、意識して患者・家族と関ることで、先を見越したケアの提供ができ、介護・症状不安の軽減が図れた事、
- 社会的資源を活用することで介護負担も軽減でき家族にもう少し頑張ろうという意欲が生まれた事、等が要因であると推察する。
また23点以下でも再入院しなかった症例では、主介護者の奮起や、他の親族の協力者が現れたりする事により介護力がアップしたことが理由として考えられる。
24点以上でも再入院になった症例は主介護者の介護疲れが主な理由であり、夜間介護に対する社会資源不足が考えられた。
結語
チェックリストを活用することで継続看護へ生かすことができた。
今後も患者・家族の思いに寄り添い、在宅・病棟に関係なく、緩和ケアの提供を行っていきたい。
参考文献
- 訪問看護と介護 2009②Vol.14 No.2 医学書院 P154―1