医療法人社団 いちえ会 洲本伊月病院 緩和ケアチーム
○桂あかり 佐伯尚美 川二美 岡頼子
西尾美帆 藤田逸郎 橋本芳正
はじめに
一般的に認知症・独居患者が終末期を迎えた時、患者の意思に添った形で看取りまでの期間を過ごすことは難しい。今回、代々続いている家を守り、家から離れたくない、在宅で最期を迎えたいと言われる認知症・独居の終末期患者の一人娘と関わり、在宅での看取りに至った事例を報告する。
事例
90歳代 女性 子宮癌・直腸癌人工肛門造設OP後 201X年Y月 上行結腸癌 緩和目的で近医より紹介。独居で週4日島外の娘が来訪し生活援助、週1回のヘルパー利用をしていた。
全身状態の悪化と脱水症に伴う発熱が生じ入院をしたが、不穏行動あり。患者は退院を強く希望した。娘は患者の意思に添えないと思っていたが、見守りや介護する事を決意し、同居・介護に携わることになり、3日後退院。
週5日訪問看護を利用し、訪問しない日は電話連絡・適宜往診を行い、娘と患者の状態を確認。良好な症状コントロールができ、患者の意思に添い、在宅のまま退院後49日で永眠。
考察
娘は一時入院をきっかけに訪問看護が入ることで同居を決心した。退院後、何かあればいつでも訪問看護師に相談できるという安心感を得ることで、介護や看護の自信に繋がったのではないかと考える。
退院後、認知症の患者に合わせた症状コントロールができ、訪問看護師や主治医と関わり、精神的ケアに繋がった事が、娘一人であっても患者の意思に添い、在宅での看取りに導けた要因と推察された。